四十九日

大学4年間と父の海外赴任を加えたら、一緒に暮らしていた期間のほうがすでに短くなっているので

実家に行ったらひょっこり顔を出しそうで、すでに父がこの世にいないという実感があまりわかない。

読経の流れるなか、ぼんやり遺影を眺めていても、父のために行なわれているということが不思議に感じられた。

晩年なにも親孝行が出来なかったわたしは戒めの意味を込めてブレスレットタイプの数珠を購入した。

今後のわたしたちを見守って欲しいという願いを込めて今日まで祭壇に供えておいた。

きっと父はそんなわたしに苦笑いをしていることだろう。

頬杖をついて、タバコをくゆらせながら

どこかでニコニコしながらわたしたちを見ているのではないかと

父の姿を探しながらも、その気配さえ感じられない自分がはがゆく

もう会えないんだ、嫁に出た以上同じ墓にも入れないんだ、と思ったら涙がこぼれた。

2006年12月16日