母の葬儀は、あいにくの雨。
もう入院した時点で、母は自宅に帰れないと覚悟はできていた。
母は着物を着ることが多かったので、いつも髪をアップしていて
70歳を過ぎても赤いハイヒールを履くようなお洒落な人だった。
病院にいる母は髪をばっさり切られて、痴呆もすすみ
わたしの知っている母はそこにはおらず、老いた母を受け入れることがどうしてもできなかった。
亡くなったことは悲しいけれど
でも、もう苦しまなくてもいいし、義姉にも世話をかけなくてもいいし
何よりも自宅に帰ってこられてよかったと思う気持ちが強くて
泣けないわたしの代わりに雨が降っているのだと思った。
葬儀、祓いの膳が終わった頃に急に外が明るくなって
美しい富士山が姿を現した。
まるで、山頂にかかる雲が竜の巣のようで「ラピュタは本当にあったんだー!」と。
母が天空の世界に旅立つために現れたかのように感じたヲタな娘で
何だかすみません・・・という感じ。