見舞い

仕事帰りに見舞いに行くと、母は一生懸命ミトンを外そうとしていた。

入院してから点滴を自分で抜いてしまったためにミトンで手を保護されていたのだが

ミトンの上からでも抜いてしまうらしい。

手首からミトンがずれていたので直そうとしたのだけれど

健常者であるわたしでもどうやって外すのか悩むのに、いったいどうやって?(笑)

諭すように説明したのだけれど「はい」「ありがとうございます」と言うだけで

たぶん何も理解できていないのだろう。

そのうちに一人でごにょごにょ何か話し始めたのだけれど、何を話しているのかわからない。

言葉が出てこないことに母も戸惑っているようだ。

病気が原因でさらに痴呆が進む可能性があると言われていたけれど

すでにわたしが娘であることも認識していない。

病院を出て、車に乗ったとたんに涙が出てきた。

母の母親、つまりわたしの祖母は、わたしが幼稚園児のころにはすでに痴呆があって

遊びに行くと「お宅、どちらさん?」と孫のことを覚えていなかった。

父方の祖母も最期のときにわたしのことは認知できなかった。

我が子を忘れてしまう母親って・・・

忘れられてしまうことも辛いけれど、母親なのに忘れてしまうことはもっと悲しい。

誰にでも発症する可能性があることだろうけれど、わたしは最期まで娘を忘れずにいたい。

2018年12月3日 | カテゴリー : blog | 投稿者 : つかちゃん